Manholeとは、地下に張り巡らされた下水道と地上を繋ぐ穴の事だ。
その語源はMan(人)とHole(穴)を組み合わせた言葉だそうだが、地上への道は重い鉄の蓋で仕切られている。
地下をずっと這い続けてきた我々が、今ようやく陽の光を浴びる為にその重い鉄の蓋をこじ開ける。
マンホールはどこに通じているかは我々にもわからない。
寒々しい真冬の都会では見た事もないようなネオンに惑わされ、自分たちの行き先を見失った。
ある時は、満月と太陽を見間違った。
そんな事を繰り返しながら、我々は再び地下に潜った。次のマンホールを目指してだ。
我々にルールは無い。次に見る地上の光は何色だって構わない。
とにかく今はどこかにある重い鉄の蓋をこじ開けようと、水浸しの地下道を歩き続けている。
イタリアには『真実の口』という彫刻がある。
映画「ローマの休日」にも出て来た有名な彫刻だ。
実はそれも古代ローマ時代のマンホールの蓋だったという。
だが古代ローマ人はそのマンホールの蓋をひっぺがし、芸術的作品に作り変えた。
我々もいつかそうなりたいと願っている。