2014年9月26日金曜日

ルパン三世

先日、舞台公演が終わった後、念願の「ルパン三世」を観た。
北村龍平監督はアクション映画監督としても一流だった。

彼から以前聞いた事がある。
例えセリフが無くても、アクションシーンにはそれ以上の芝居が有ると。

拳銃を向ける時の表情、その動作、戦う時に見せる闘志、それら全てにはセリフなど及びもつかない深い芝居が必要なのだと。

それは目線ひとつをとっても言えるものに違いなく、
ルパン三世の1カット毎にそれらの深い芝居は見て取れた。

小栗旬演じるルパンには大泥棒としての存在感と同時に人間としての悲哀があったし、黒木メイサは、マンガのヒロインよりもずっと魅力的な峰不二子としてスクリーンの中に生きていた。

さらに言うなら、脇を固めた悪党どもや早々に敵に殺されてしまうルパンの仲間の山口祥行もなんと魅力的だったろうか。時々見かけるヤクザ映画には無い色気と個性を発揮していて、こんなにも祥行が素敵な役者だったかと改めて感じていた。

話を北村監督の言葉に戻すと、俳優に必要なのは行動(衝動)だとも言われている。
感情を先に見つけようとするのではなく、行動が感情を呼び起こす事を俳優は忘れてはならない。

スタニスラフスキーをここで語るつもりはないが、演技を学んできた者ならジェームズ・ランゲ説に行き着く筈だ。

「おかしいから笑うのではなく、笑うからおかしいのだ。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しい。怖いから逃げるのではなく、逃げるから怖いのだ」

このジェームズ・ランゲ説に代表される言葉が、ルパン三世と北村作品の中には感じ取れた。

「銃を向けるから悲しみも殺意もあって、考えずに車に飛び込むから戦うのであり、見つめるから愛すのだ」
ルパン三世はそんなところだろう。

アクション映画の奥深さも演技の深淵もかつてブルース・リーが映画少年たちに教えてくれた。
北村龍平もきっとその一人に違いない……。